kako 父のこと

2010年11月22日 日常
時々、父のことを考える。

私は、憎しみでいっぱいだった。
怒りと憎悪。思春期には嫌悪も加わり。

そして、
許すことが下手だった。
というか、できなかった。

些細な行き違いを水に流せず
引きずって
嫌な思いをさせられた分、
父にも、
嫌な思いをさせたかった。

父が何も気にせず、
私のために腕時計を買ってきてくれた。
可愛い私の、喜ぶ顔が見たかったのだと思う。
小学生の私は、
単純に嬉しかったのだけれど
一生懸命ぶっきらぼうに、
「かわいくない、なにこれ。」と難癖をつけた。
父はだんだん笑顔が消えて
傷ついたように怒ったように
「ああ、そうか。
せっかく買ってきたのに。
こんなことなら買って来なければよかった。」
と言った。
傷つけてしまってズキっとした。
それでも一生懸命
「うん、こんなんなら、買ってきてくれなくてよかったよ。」
と言って、立ち去った。


そうして部屋に戻って
とても悲しかったけれど一生懸命
「これでいいんだ。これでこそ復讐になるんだ。」
と自分を励ました。


その時の
ご機嫌だった父が
傷ついたように怒っていく雰囲気と
それが、
ひどく悲しかったことが
今でも忘れられない。

それでも、
私は憎むことも復讐も、やめなかった。

理不尽だと、主張ばかりだった。

素直で謙虚な子ではなくて。

そうじゃなくても、
せめて
憎しみを手放せる子ならよかった。

いまは
どうだろうか。
謙虚だろうか。
誰かを恨んだりしていないだろうか。
笑えるかな。許せるかな。
許すってのもその時点で謙虚じゃないな。




父は動物をかわいがった。
近所の犬を、よく構ってた。

犬好きだと思う。

しかし
うちで動物を飼ったことはない。
実家で商売をしているので
動物の毛が入ると困るからだと聞いた気がする。

もっとあとになってから
母が「生き物は先に死んでしまうから気が進まない」
とも言っていた気がする。

そして先日、父に同じ質問したら
「動物を飼ったら、世話が必要だから
旅行とかで家をあけられなくなる。」
その間だけ、預かってもらったらいいのに、
といったら
「うーん、そこまでしてか?」
と。

父らしいなと。
人に頼るのが嫌なんじゃないかな。

それでも、そんな話をした
その語り口調は昔と違って穏やかで。

最近の父は、もう、嫌いじゃない。


いまの父となら
もう少し会話してもいいと思える。

長生きして欲しい。

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